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給排水設備の種類と保守のポイント|管理担当者が押さえるべき基礎知識
ビル・マンション・商業施設などの給排水設備は、普段は目に見えない場所にあるため、問題が起きるまで意識されにくい設備です。しかし一度トラブルが発生すると、漏水被害・断水・悪臭など、建物全体に大きな影響を及ぼします。受水槽の汚染による健康被害や、排水管の詰まりによる浸水事故は、入居者様・利用者様の信頼を損なうだけでなく、資産価値の低下にも直結します。
給排水設備の管理で重要なのは、①水質の維持 ②設備の安定稼働 ③詰まり・劣化の予防 の3点です。これらを継続的に管理することで、突発的なトラブルや高額な修繕費を防ぐことができます。ここでは、設備の種類・役割・保守のポイントをわかりやすく解説します。
目次Index
給排水設備の種類とそれぞれの役割

給排水設備は「給水」「排水」「通気」と、それに関連する設備に分類されます。種類ごとに構造や劣化のサインが異なるため、それぞれの特徴を把握しておくことが、トラブルの早期発見につながります。
給水設備
建物内に清潔な水を届けるための設備です。ビルでは受水槽・高置水槽にいったん貯め、加圧給水ポンプで各フロアに送水する方式も多く採用されています。近年のマンションでは直結増圧給水方式・直結直圧給水方式の採用も増えており、給水方式に応じて管理ポイントが変わります。
排水設備
使用済みの水を建物外に排出する設備です。排水管・マンホール・グリストラップ(飲食施設や工場で多用)・湧水槽(ビルピット)などが含まれます。油脂やゴミが溜まりやすく、清掃を怠ると詰まりや悪臭の原因になります。
通気設備
排水をスムーズに流すための設備(通気管・通気弁)です。通気が不十分になると排水の流れが悪くなるほか、封水(トラップ内の水)が切れて悪臭や害虫の侵入を招くことがあります。
その他の関連設備
給湯設備も給排水設備と密接に関わります。建物の用途(病院・工場・商業施設など)に応じて、重点的にチェックすべき設備を特定しておくことが重要です。
見逃してはいけない「劣化・異常のサイン」

給排水設備は、完全に故障する前に異常のサインが現れるケースも少なくありません。以下のような症状に気づいたら、早めの対応が重要です。
給水設備のサイン
- 水圧が不安定になる
- ポンプから異音・振動がある
- 赤水や濁りが出る
排水設備のサイン
- 排水の流れが悪い
- ゴボゴボと異音がする
- 悪臭が発生する
「まだ使えているから大丈夫」と判断せず、早めの確認をおすすめします。
保守点検のポイント:給水システム編
給水設備で最優先すべきは「水質の維持」と「ポンプの安定稼働」の2点です。
貯水槽(受水槽・高置水槽)のチェック項目
簡易専用水道に該当する場合は、年1回以上の清掃に加え、1年以内ごとに1回の法定検査が必要です。また、点検では以下の項目を確認します。
- 槽内部の亀裂・劣化・藻や錆の発生・沈殿物
- 槽外部の亀裂・錆の発生、マンホール蓋の破損・不備
- オーバーフロー管や通気管、防虫網の状態
- 残留塩素の測定(給水栓で遊離残留塩素0.1mg/L以上を維持)
点検・清掃の記録は、トラブル発生時に管理体制の適正さを証明する手段にもなります。なお、直結給水方式の建物では増圧ポンプや逆流防止弁の定期点検に重点を置きます。
▶ 関連ページ:貯水槽清掃とは?必要性や作業の内容・流れ・費用について
給水ポンプの稼働管理
給水ポンプは建物の「心臓」とも言える存在です。点検時に確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
- 異音・振動の有無
- 圧力計、電流値、電圧の定格・設定値と実測値の整合性や絶縁抵抗値など
- 制御盤の警報履歴・運転頻度・運転回数など
- 軸封部(メカニカルシール等)・配管類からの漏水
築年数が経過した建物では、ポンプ本体に加え配管接続部の腐食にも注意が必要です。
保守点検のポイント:排水・通気システム編
「詰まりの予防」と「悪臭・害虫対策」の2点が重要です。排水管内の油脂・スケール・錆は放置するほど硬質化し、高圧洗浄でも除去困難になります。「流せなくなってから対処する」ではなく「予防保全」の考え方が、結果的にコスト削減につながります。
排水管の詰まり予防

定期的な高圧洗浄は、排水管の詰まり予防に有効な手段のひとつです。なお、建築物衛生法上の特定建築物に該当する建物については、排水に関する設備の清掃を6か月以内ごとに1回行うことが定められています。一方で、排水管そのものの定期的な高圧洗浄について、頻度や方法を個別に定めた明確な規定は確認できないため、建物の用途や使用状況に応じて計画的に実施することが重要です。
一般的なマンションでは1〜2年に1回程度が目安とされますが、飲食店が入居する建物では油脂の蓄積が早いため、より短い周期での対応が求められる場合もあります。あわせて、通気管の詰まりや通気弁の動作不良も確認することで、排水不良や悪臭の発生リスクの低減につながります。
▶ 関連ページ:定期的な排水管清掃でマンションの水トラブルを未然に予防
グリストラップと排水ポンプの管理

飲食施設・食堂併設の建物ではグリストラップの清掃管理が特に重要です。清掃不足は悪臭・害虫の原因になるだけでなく、下流の排水管への油脂蓄積を加速させます。排水ポンプは自動交互運転の正常動作と槽内の堆積物を定期的に確認します。
▶ 関連ページ:グリストとは?仕組みや清掃頻度について解説
設備更新(リニューアル)の
タイミングと判断基準

突発的な緊急工事は計画工事に比べてコストが割高になるため、中長期修繕計画に基づく計画的な更新が得策です。以下は代表的な設備ごとの更新目安です。実際の劣化状況や使用環境によって前後するため、定期的な点検と併せてご判断ください。
貯水槽の更新目安
| 槽の種類 | 更新時期の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ステンレス製 | 約25〜30年 | 耐久性が高く長寿命 |
| FRP(繊維強化プラスチック)製 | 約15〜20年 | 紫外線や経年劣化の 影響を受けやすい |
| RC造(コンクリート製) | 約30〜40年 | 内部の防水処理は別途 メンテナンスが必要 |
給水管の更新目安
| 管の種類 | 更新時期の目安 |
|---|---|
| ステンレス管 | 約30年 |
| ポリエチレン管(PEX管) | 約30年 |
| 硬質塩化ビニル管(VP管) | 約20〜25年 |
| 耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP管) | 約30年 |
| ポリブテン管(PB管) | 約30〜40年 |
排水管の更新について

排水管の更新時期は、管種・施工条件・使用環境によって大きく異なります。年数だけで一律に判断することは難しく、定期的な管内診断(内視鏡調査など)と長期修繕計画に基づいて総合的に検討することが重要です。劣化の程度によっては、全面更新ではなくライニング工事(管内面の被覆補修)による延命も選択肢となります。
ポンプ・その他設備の更新目安
| 設備の種類 | 更新時期の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 給水ポンプユニット (揚水ポンプ) |
約10〜15年 | 消耗部品の交換で延命も可能 |
| 給水ポンプユニット (増圧ポンプ) |
約10年 | 直結増圧方式の建物で使用 |
| 排水ポンプ | 約10年前後〜15年 | 使用環境による差が大きい |
| 自動水栓・衛生器具 | 約10〜20年 | 省エネ・非接触型への アップグレードも検討 |
設備更新のタイミングを「壊れたから替える」ではなく、「資産価値を維持・向上させるための投資」として捉える視点が重要です。近年では、センサー式自動水栓や節水型器具への切り替えなど、省エネ・衛生面を意識したリニューアルの需要も高まっています。
計画的な維持管理が施設の資産価値を守る
日常的な点検で異常を早期に発見し、計画的なメンテナンスと適切なタイミングでの設備更新を組み合わせることで、突発的な修繕コストを抑えながら、利用者様に安心をお届けできます。
アムコン株式会社は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県を中心に40年以上にわたりマンション・ビルの給排水設備メンテナンスを手がけてきました。設備の状態に不安を感じたとき、あるいは中長期的な修繕計画を見直したいとお考えの際には、どうぞお気軽にご相談ください。建物の「血管」を健やかに保つお手伝いをいたします。
※対応エリアの詳細はサービス対応エリアをご確認ください。
